ISLAM   〜ムスリムとして知っておくべきこと〜

『イスラームに関する質問 』

ムハンマド・ジャワド・シューリ


注:ウィルソン・H・グウェルティン(W)
     イマーム・シューリ(C)

  【質問20 イスラームの戒律】


W: キリスト教とユダヤ教はモーゼに啓示された十戒を教え、旧約聖書に記録されています。イスラームにも同じような戒律があるのでしょうか?


C: 十戒はクルアーンが命じたことの一部にすぎません。
イスラームは多くのことを従者に避けるよう命じています。
禁止事項にはムスリムの教義に反するために禁じられていることもあれば、不道徳・
不健康あるいは信仰義務に背く行為であるために禁じられていることもあります。
こうした禁止事項がイスラームの戒律といえるかもしれません。
こうした禁止事項に背いた場合、重大な罪を犯したことになります。
ムスリムには以下のことが禁じられています。

1. 神に比類するものを付すこと。
     「アッラーと一緒に外の神を立ててはならない。さもないと,あなたがたは軽蔑され
     見捨てられるであろう。」(17:22)

2. 預言者に下された神の啓示を否定すること。

3. クルアーンが承認する預言者たち――イエス、モーゼ、アブラハム、ノア――を
     否定すること。この啓示やこの預言者たちの否定はイスラームの否定にあたる。

4. 神に反しても安心すること。
     「かれらはアッラーの計画に対して安心出来るのであろうか。アッラーの計画に
     対し安心出来るというのは,失敗する(運命にある)者だけである。」(7:99)

5. 神の御慈悲に希望を失うこと。
     「・・・・・・アッラーの情け深い御恵みに決して絶望してはならない。不信心な者の
     外は,アッラーの情け深い御恵みに絶望しない。」(12:87)

6. 神の御名において偽りの誓いを立てること。
     「あなたは,アッラーの怒りを被った人びとを友とする者に,気付かないのか。
     かれら(偽信者)はあなたがた(の仲間)でもなく,またかれら(の仲間)でもない。
     かれらは知っていながら,偽りの誓いをたてる。アッラーはかれらのため,厳しい
     懲罰を備えられる。本当にかれらの行うことは大悪である。」(58:14-15)

7. 故意に契約を破ること。
     「あなたがたがアッラーと約束を結んだ時は,誓約を成し遂げなさい。誓いを確証
     した後,それを破ってはならない。あなたがたはアッラーを,はっきり立証者とした
     のである。本当にアッラーは,あなたがたの行うことを知っておられる。」(16:91)

8. 故意に人間を殺すこと。
     「正当な理由による以外は,アッラーが尊いものとされた生命を奪ってはならない。」      (17:33)
     預言者は言いました。
     「あなた方の命と財産は、あなた方が主の御前に立つ時まで聖なるものであり、
     これを互いに侵してはならない」

9. 自分の共同体(国)の正義を裏切ること。

10.自国を侵略から防御しているとき、戦場から逃げること。
     「その日かれらに背を向ける者は,作戦上または(味方の)軍に合流するための外,      必ずアッラーの怒りを被り,その住まいは地獄である。何と悪い帰り所であること      よ。」(8:16)

11.盗み。

12.売買における不正行為。
     「災いなるかな,量を減らす者こそは。かれらは人から計って受け取る時は,
     十分に取り,(相手にわたす)量や重さを計るときは,少なく計量する者たちで
     ある。」(83:13)

13.孤児のための財産をそれ以外の目的に使うこと。
     「孤児が力量(ある年齢)に達するまでは,最善(の管理)をなすための外,かれの
     財産に近付いてはならない。約束を果たしなさい。凡ての約束は,(審判の日)
     尋問されるのである。」(17:34)

14.両親への無礼行為。
     「あなたの主は命じられる。かれの外何者をも崇拝してはならない。また両親に
     孝行しなさい。もし両親かまたそのどちらかが,あなたと一緒にいて老齢に達して
     も,かれらに『ちえっ』とか荒い言葉を使わず,親切な言葉で話しなさい。そして
     敬愛の情を込め,両親に対し謙虚に翼を低く垂れ(優しくし)て,『主よ,幼少の頃,      わたしを愛育してくれたように,2人の上に御慈悲を御授け下さい。』と(折りを)
     言うがいい。」(17:23-24)

15.姦通。
     「私通(の危険)に近付いてはならない。それは醜行である。憎むべき道である。」
     (17:32)

16.醜聞、特に女性に関すること。
     「信仰する者の間にこの醜聞が広まることを喜ぶ者は,現世でも来世でも,痛ましい
     懲罰を受けよう。あなたがたは知らないがアッラーは知っておられる。」(24:19)

     「無分別に貞節な信者の女を中傷する者は,現世でも来世でもきっと呪われよう。
     かれらは厳しい懲罰を受けるであろう。その日,かれらの舌と手と足は,
     その行ったことに就いてかれらに(不利な)立証をする。その日アッラーは,
     かれらが受けるべき応報を(凡て)払い戻され,かれらは,アッラーが真理であり,      (凡てのことを)明瞭になされることを,知るであろう。」(24:23-25)

17.自国や自己防衛以外の目的で他者を詮索すること。

18.本人の知らないところで悪口をいい、その人の恥を言いふらすこと。
     「無用の詮索をしたりまた互いに陰日してはならない。」(49:12)

19.賭け事。

20.飲酒。
     信仰して善行に勤む者は,(既に)食べたものに就いて罪はない。かれらが主を
     畏れ,信仰して善行に励む時は,それでその上にも,主を畏れ,信仰しなさい。
     更にその上に,主を「畏れ,善行に勤め。アッラーは善行者を愛でられる。
     あなたがた信仰する者よ,アッラーはあなたがたの手または槍で狩ろ,ちょっとした      獲物によって,あなたがたを試みられる。それはアッラーが,見ることの出来ない
     かれを恐れる者が,誰であるかを知られるためである。この後でも違犯する者は,
     痛ましい懲罰を受けるであろう。」(5:93-94)

21.豚肉や豚肉製品を食べること。

22.血の飲食。(必要時の輸血は禁止されていない)

23.死肉や神以外の名で屠殺された肉を食べること。
     「かれがあなたがたに,(食べることを)禁じられるものは,死肉,血,豚肉,および
     アッラー以外(の名)で供えられたものである。だが故意に違反せず,また法を
     越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い
     方であられる。」(2:173)

24.神の言葉を故意に偽ることや、過ちの証言をすること。
     「アッラーの印を信じない者は,只蟻を捏造する者で,かれらこそ虚言の徒である。」      (16:105)

25.裁きの場で証言を求められたときに隠すこと。
     「証言を隠してはならない。それを隠す者は,心を罪で汚すものである。
     アッラーは,あなたがたの行うことを熟知されておられる。」(2:283)

26.正義を故意に妨害すること。

27.他者の中傷を言い歩いて[中傷された人に対する]憎悪を広めること。
     「あなたは,卑劣な誓いをたてるどんな者にも屈従してはならない。
     中傷し,悪口を言い歩く者,善事を妨げ,掟に背く罪深い者,
     乱暴(残虐)な者,その外素性の卑しい者・・・・・・」(68:10‐13)

28.遺言の侵害
     「それを聞いた後,(その遺言を勝手に)変更する者があれば,罪はそれを変更した      者の上にある。本当にアッラーは,全聴にして全知であられる。」(2:181)

29.迫害と抑圧

30.抑圧者・迫害者を助けること。
     「・・・・・・あなたがたを(且つて)聖なるマスジドから追放した者たちを恨みにもって,      法を越え,刺激してはならない。寧ろ正義と篤信のために助けあって,信仰を
     深めなさい。罪と恨みのために助けあってはならない。アッラーを畏れなさい。
     誠にアッラーは懲罰に就いて厳重であられる。」(5:2)

31.人を見下し高慢になること。
     「他人に対して(高慢に)あなたの頬を背けてはならない。また横柄に地上を歩いて      はならない。本当にアッラーは,自惚れの強い威張り屋を御好みになられない。」
     (31:18)

32.嫉妬
     言え,「梨明の主にご加護を乞い願う。かれが創られるものの悪(災難)から,
     深まる夜の闇の悪(危害)から,結び目に息を吹きかける(妖術使いの)女たちの
     悪から,また,嫉妬する者の嫉妬の悪(災厄)から。」(113:1‐5)

33.正当な理由がないのに血縁を悩ませること。
     「あなたがたが,もし御命令に背き去ったりして,地上に退廃を齎し,また血縁の
     断絶となるようなことを期待するのか。」(47:22)

34.日々の五回の礼拝を怠ること。

35.ラマダーン月の断食を正当な理由がないのに解くこと。

36.ザカート[各人の資産に課せられた救貧税]を拒むこと。

37.メッカ巡礼の義務を怠ること。
     身体的、経済的に可能な者は生涯に一度行うものとされている。

38.必要かつ有効とされるとき、人びとに善行を勧め、悪から離れるよう忠告する
     義務を怠ること。
 
     礼拝、断食、喜捨、巡礼、善を勧めて悪を禁ずることは、クルアーンの義務なので、      最後の五項目は大罪とされています。



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