ISLAM   〜ムスリムとして知っておくべきこと〜

『イスラームに関する質問 』

ムハンマド・ジャワド・シューリ


注:ウィルソン・H・グウェルティン(W)
     イマーム・シューリ(C)

  【質問1.イスラームにおける議論の自由】


W: 宗教の教えの健全性において疑問をもつのを妨げる宗教があります。
そのような宗教は信者に調査を許さず、教えられたままにただ従うよう忠告しています。 自分たちの信仰を要求し、疑問を抱いてはいけないと、他の宗教を知ろうとするのを禁じます。 教義に疑問をもつこと、基本教示を他の宗教と比較することにおいて、イスラームではどのように教えていますか?



C: イスラームはこの点が非常に進歩的です。
信者に特定の教義を信じるよう求めはしますが、同時に、証拠を基盤とした信仰をもつ
よう忠告しています。どんな質問をもとうと自由で、疑惑を抱いたとしても真実の究明に
徹底的に取り組めば非難されません。自分の宗教以外の基本教義を語るな。
神の御怒りに触れてしまう。このように信者を恐れさせる宗教があるとすれば、
イスラームにおいては、信者が真実探究を求めるならば神の御怒りからは安全なところにいます。
事実、イスラームは新しい知識や真実発見の案内のための議論を禁じていません。
イスラームは、イスラーム以外の宗教教義について恐れずに議論することを良しとして
います。神の御怒りを恐れる必要はないのです。
神は真実の神であり、真実を求める人を非難されません。
逆に、真実を求めて徹底的に研究調査すればするほど、さらに神の報酬を受けるというのがイスラームの視点です。

己の理論(または賛同する理論)に一致または不一致の証拠がある場合、それを受け入れる精神、すなわち科学者の精神をもって宗教問題に立ち向かう態度が、イスラームの目から見た最高の益と称賛に値する態度なのです。


W: イスラームには宗教の研究に関しての規則や忠告はあるのでしょうか?


C: 聖クルアーンには、宗教を調査して到達する結論の安全性のために従うべき規則があります。

1. 証拠に反した教義を受け入れてはならない。証拠なき教義に従うべきではない。
神が人間に信じさせたい教義なのであれば、神はそれを明瞭にして証拠をお示しになる。神は最も公平かつ公正である。神は信仰が任意のものではないことを御存知であられる。つまり、神の教えは個人次第で決まるものではない。人は自分の好みで信じたり信じないでいたりすることはできない。

これはどういうことかといえば、人間の体は命令どおりに動かせるが、人間の心はそうはいかない。手を上げたり下げたり、 歩いたり座ったりすることがその時賢明ではないと判断していてもそうするように指令されれば従うことはできる。
だが、例えば、2+2=5、3=1、火は冷たい、雪は熱い、などと信じろと指令されても
従うことはできない。

人間の知識(認識)は、直接または間接的証拠からくるもので、自分の願望や思いつきでもたらされるものではない。 受け入れることのできる宗教の信条は、知識に基づいた
ものでなければならない。私があることを知るのを神が御望みならば、 私がその知識の証拠を得られるようにすることで、その知識を可能にさせるはずである。 その知識に反した証拠があるのにその知識を信じなければならないとすれば、私は不可能なことを求められており、 これは神の公正に反している。

イスラームは証拠不足が理由で信じない人を非難などしない。
それとは反対に、ある教義の証拠が明らかにされておらず、暗闇の中で手探り状態なのに従ったり、真実と合わない教義に従ったりすれば非難される。
証拠に反する教義や証拠の欠けた教義に従うことは、証拠のない被告人を相手に裁判の判決を下すようなものである。 そのような態度は称賛されない。

クルアーンにはこうある。
「また、あなたは、自分の知識のないことに従ってはならない。本当に聴覚、視覚、また心の動きの凡てが(審判の日において)尋問されるであろう。(17:36)」

2.一般に受け入れられていることを額面通りに受け入れてはならない。
宗教を調べる人は、自分の社会で一般的に受け入れられた教義を真実の証拠として
受け入れるべきではない。社会一般に受け入れられた考え方が、実は過ちだったことが証明されたということはよくある。

地球は平らで、太陽は地球の周りをまわっていると考えていた時代があった。
人間は何千年もそう信じていたが、今、それが真実ではないのはわかりきったことだ。

しかも、ある社会で一般的に受け入れられたことが、別の社会でもそうかといえばそうではない。そのまた逆もあろう。一般的に受け入れられたことが正常であることの印だと
すれば、その中に矛盾があってもすべてが真実ということになる。
しかし、真実そのものは絶対に矛盾しない。

最初の預言者が神の唯一性を宣告したとき、その教えはどこの社会でも受け入れられていた教えではなかった。 人びとは偶像崇拝者か不信心者かのどちらかだった。
そのような神の教えが一般的でなかったからといって真実ではないことにはならない。 実際、どの預言者も各々の社会で一般に受け入れられていなかった教えを運んできた。 一般化された過ちを正して真実と交換するのが預言者たちの目的だった。

クルアーンはこう語っている。
「あなたがもし地上の多くの者に従うならば、かれらはアッラーの道からあなたを迷わすであろう。かれらは只憶測に任せて、虚言をこととするに過ぎない。(6:116)」

3.生まれながらに受け継いだ宗教教義は調査を要する。
イスラームは各人の生まれながらに受け継いだ宗教を調べるよう忠告している。
受け継いだ宗教は他の宗教と同じように証拠を要する。
子どもは両親の判断に頼り、自分で判断できないかもしれない。
だが、大人になれば、宗教はその人の自己責任にある。
両親を敬うことはイスラームの教えの一つであるが、宗教のように重大なことで
両親の意見が間違っているときにもそれを受け入れなさいという意味ではない。
実際、間違った宗教の教えにしがみついている両親が子どもに従えと命じても、
そのような行為は神の意思に反しているので従うべきではない。
両親が間違っているのに従った場合、その人は神に不服従だということになる。

クルアーンはこう語っている。
「われは、両親への態度を人間に指示した。(略)『われとあなたの父母に感謝しなさいわれに(最後の)帰り所はあるのである。だがもし、あなたの知らないものを、われに
(同等)配することを、かれら(両親)があなたに強いても、かれらに従ってはならない。
だが現世では懇切にかれらに仕え、悔悟してわれの許に帰る者に従え。(略)』
(31:14−15)」

他の宗教を調査するのはもちろんのことだが、自身の宗教を調べるようイスラームは
命じている。そうすることで人はイスラームの価値観をよりいっそう深めることができる。

4.不信を抱く者は罪から免除されない。
どの宗教にも従わない人が宗教という概念自体に疑惑を抱く場合、その疑惑に満足
すべきではない。自己を守るのは自身の重大義務であり、様々な害から身を守るための現世の重大な関心事である。

同様に、自身の精神上の利益を崩壊から守るのは自己責任であり自己の義務である。 精神生活の意義を真剣に問うことは、物質生活の意味を問うのと同じくらい重要だ。
自己の責任を果たし義務を遂行するためには、質問と調査は不可欠であり、宗教の
疑惑を真剣に問うことは欠かせない。
疑惑の中には真実に到達しうる多くの事実が隠れているかもしれない。
それを探そうとしなければならない。あらゆる手段を尽くし調査しても真実を見つけられ
なかった人は、神の目において、罪を犯してはいない。
神はその人にできることのみを御求めになるのだから。

クルアーンはこう教える。
「アッラーは誰にも、その能力以上のものを負わせられない。(2:286)」

5.宗教を調査する際、自身のための判断を他者に判断させてはならない。
いくら誠実で知的であろうと他者の判断に依存してはならない。
どの宗教にも誠実で知的な教育者は存在する。
だが、そういった教育者に自己の宗教上の判断を委ねた人は、見失ってしまうだろう。
教育者の間には必ず相違があるからである。また、一つの宗教の教育者に依存し、
他の宗教の教育者を無視する人は偏っている。
誠実な、知識豊かな教育者であっても間違っていることもある。
そんな教育者の判断に従う人は免責されない。
その人の宗教はその人の自己責任なのである。
真剣に質問した後で到達した結論と意見は、その人のみの判断によるものだ。

クルアーンはこう教えている。
「荷を負う者は、他人の荷を負うことは出来ない。(35:18、53:38)」

以上のクルアーン5節からわかるように、イスラームは疑問や分析を恐れない教えです。宗教教義の自由な討論を禁じ、研究者に調査させないのは、失敗を恐れる者だけです。



blue-a5.gif(1025 byte) 質問2.イスラームの定義       



イスラーム ムスリムとして知っておくべきこと

項目






















































































































Copyright (C) 2005 イスラーム〜ムスリムとして知っておくべきこと〜, All rights reserved.
Powered by HTML Templates k2-s.com
inserted by FC2 system